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第0回 関西発中国行き、片道キップ

近鉄の駅から線路沿いに北にあがると、城跡へ続く坂道が現れる。
今日は、転勤になる同期のさよなら会を兼ねた花見だ。

「暇だねー」
と、とりあえず切り出してみる。
「えっ?そうなん?」
別の仕事の奴が言う。
「うちの職場は暇だから、このところ転勤が多いんだよ」

長く続いていた仕事が、終焉を迎えた。
次の仕事がなかなか決まらず、残業代を0にすることや、有給を消化するのが仕事になりかけていた。
そんな状況からか、ある人は自ら転勤を希望し、ある者は転職していき、
ある者は仕事の内容を変えてでも、この地にとどまろうとしていた。
元の上司は、本社へとっくに去っていたのだった。

「あのさ、いま暇だから、一週間ぐらい休みがとれるんじゃないかと思うんだけど・・・」
と言ってみたが、実はすでに行動に移していた。
パスポートは手配済み。
地球の歩き方も買ってある。
当然、行き先は「チベット」だ。

「いくら暇でも、一週間を平日にとるのは無理じゃない?」
とか言われた気もするが、そのとき特に気にしなかった。
たぶん酒がまわっていたのだろう。
これがここでの最後の花見になるとも知らずに。

翌週、出勤すると上司のハネピョンがピョンピョン跳ねながらやってきて言った。
「You!来月から転勤ね!」
「えっ!俺だけですか?」
「So!君だけYo!」

この前、一つのプロジェクトが終わった。
失敗だった。
結果、全員が転勤という、ある意味非情な、ここではよくあることが、あたりまえのように行われていた。

「You!そこのmemberだったよね?」
「えっ?あれは予算の都合上、給料はあっちのプロジェクトからもらってただけで、
仕事はこっちの内容しかしていないじゃないですか!」
「いや、頭数としては、あっちに入ってるんで、Youも転勤だYo!」

ここで、俺ははめられたことに気づいた。
一週間の休みは取れなかったが、
ゴールデンウィーク+4日間の転勤休暇をとることになった。
中国地方行きの片道切符とともに。

※この話は、事実を元にしたフィクションです。よく似た団体、会社、人物がいても、いっさい関係ありません。

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